マンション管理基礎知識
WISDOM

6.長期修繕計画

鉄筋コンクリート造りの頑丈なマンションでも、年数の経過とともに老朽化・劣化が進んでいきます。傷みがひどくなる前に、適切な時期に適切な方法で計画的な修繕を行う事が、建物や設備の性能を維持し寿命を延ばすために必要です。専有部分を囲んでいる外壁・戸境壁・スラブ(床・天井)・柱・梁や全体の配管や電線及び電気・設備機器などの多くは共用部分であり、区分所有者全員の共有財産であると同時に、区分所有者全員に維持管理・修繕を行う責任があります。
 そのために、10年、20年、30年先を見越して対策を立て、それぞれのマンションに応じた長期修繕計画が建物の維持管理には欠かせません。また、修繕項目や周期、工事金額の見直しを立地条件や物価の変動により定期的に行い、その物件にあった修繕計画表を作成することが重要です。

長期修繕計画の必要性

 コンクリートは100年もつと言われていますが、マンションにも寿命があり、雨風や直射日光に何年もさらされていれば、いかにコンクリートといえども色々な部分が老朽化していきます。 例えば、外壁の劣化を放置しておけばコンクリートも劣化していき、ひび割れの原因にもなります。さらに専有部分へ雨漏れするなど、いずれ放っておけば建物自体に深刻な影響が生じます。そのようなことを未然に防ぐために、適切な修繕を行うための長期修繕計画を作成する必要があります。

長期修繕計画の作成

 長期修繕計画は、住戸部分を除くマンションの共用部分の法定償却期間ではなく、過去の工事例に基づく物理的耐用年数や、美観保持などの見地から作成されます。そのため、マンションの個別要因(立地、環境、材質、日常の管理方法など)によって内容に違いがあります。
 個々のマンションの特性に応じて建物や設備の耐用年数を推定し、それぞれの箇所の修繕周期を決める内容の主な項目は、
以下の通りです。

  • 建物、施設、設備の対象部位
  • 工事の仕様
  • 単価数量
  • 工事推定価格
  • 修繕実施予定年度

長期修繕計画の見直し

 実際の修繕実施時期の決定については、建物の施工、環境、使用状況等により修繕周期は変動するため、事前の調査・診断などによる見極めが重要になります。
 また、工事の実績や経年に伴って、長期修繕計画で設定した修繕項目に加え、新たに修繕項目が発生することや工事費に変動が生じることがあります。必要に応じて修繕計画の見直しを行うことが求められます。

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